日本脳炎

昨日の日記にクロスさんからコメントを頂いて初めて知ったのですが、厚生省が日本脳炎の予防接種を中止勧告しました。予防接種後に、呼吸困難に陥るほどの重い中枢神経症状を起こす副作用の事例を重く受け止めての対応だそうです。

日本脳炎の予防接種中止 厚労省、緊急の勧告
 厚生労働省は、日本脳炎ワクチンの予防接種を市町村が勧奨するのを中止するよう求める緊急の勧告を出すことを決めた。30日通知する。予防接種の中止勧告は異例。
 山梨県の中学生が昨年、接種後に、神経障害などが起きる急性散在性脳脊髄炎(ADEM)と診断され、接種の副作用が疑われた上、症状も呼吸管理が必要など特に重かったため。
 日本脳炎患者の発生が最近では年間10人以下と少なく、年によっては患者よりADEMなどの副作用の報告が多いことも考慮した。
 日本脳炎ワクチンは、市町村などが勧奨する「定期接種」として、年間400万人以上が接種を受けている。現在は生後6−90カ月の間に3回、9歳以上13歳未満で1回、14歳以上16歳未満で1回の計5回接種。ADEMは脳や脊髄で損傷、炎症が起きる急性疾患で、頭痛や感覚・意識障害、まひが発生する場合もある。医師による副作用報告制度が始まった1994年以降、ワクチン接種後のADEM厚労省健康被害認定を受けた患者は、10人を超えた。

本日予定していた遼介の予防接種を急遽中止したのは言うまでもありません。当然。
 
WHOの統計によると、一般的に日本脳炎の発症患者の約20〜50%は死亡するといわれており、死亡を免れた場合でも、半数近くは重篤な後遺症を残します。国内ではここ10年は患者が年数人しか出ていませんが、もし蚊に刺されて発症してしまったら、現在は抗ウイルス剤が開発されていないという恐ろしい病気です。現在のワクチンは「マウスの脳」を利用して製造しており、残留したごく微量のマウス脳の成分と副作用発生との関連が指摘されていました。また、日本脳炎は感染しても1000〜5000人に1人しか発症せず、発症しなかった人には強い免疫を残します。統計上では日本脳炎の発症率よりも副作用の脳炎を起こす危険性の方が高いとも言われていました。
日本脳炎ウイルスを増幅する重要な宿主はブタで、蚊(コガタアカイエカ)が媒介します。この蚊は北海道や東北地方ではほとんど生息していないそうです。国立感染症研究所のページでは、ブタの日本脳炎ウイルス保有状況都道府県別にわかります。これをみると6月あたりから保有比率が増え始め10月にピークをむかえるらしいです。2004年第16報(10月19日)によると、その保有比率は西日本で圧倒的に高いことがわかります。(関東から関西に転勤してきたばかりなのに…)
 
この夏は、蚊を寄せ付けない観葉植物のモスキートブロッカーとかミラクルニームとかが馬鹿売れな予感。とりあえずデジタル蚊取り線香でもインストールしておこう。