残念だ…

“人生とは旅であり、旅とは人生である” (nakata.net)
ありがとう、中田英寿。素直な気持ちとして、まずは感謝の気持ちを贈りたい。日本サッカーの急激な成長の中心に彼はいた。日本代表を、日本のサッカー全体を牽引し、彼の存在が、その可能性が無限であることを教えてくれた。我々もそれを信じて疑わなかった。大いなる夢を抱いた。ワールドカップに連れていってくれた。世界が認める「Nakata」を通じて、誇りという感情を覚えた。先駆者として世界の檜舞台で活躍し、自らを鼓舞するかのように闘い続けた。その姿は全ての選手に勇気と希望を与えた。我々は確かに彼の気持ちを受け取った。
しかし、残念でならない…。道を切り開いてきた強さがあるからこそ、完全燃焼して欲しかった。やり残したことがまだあるだろう。欧州で、彼の持つポテンシャルの全てを本当の意味で発揮できたとは思わないし、さらに高いレベルに踏み出すことだってできたと思う。また、代表においては(まもなく代表監督に就任するであろう)オシムとのやり取りの中で、さらなる新境地というものを見つけることもできたかも知れない。それはヒデ個人だけのことではなく、今後の日本サッカーの成長にとってとても大切なことのようにも思える。さらに、彼が「傷つけないようにと胸の奥に押し込めてきた」というその感情を、前面に出して楽しみながらプレーする姿もみたかった。彼の積み上げた尊くて貴重な経験とその逞しいスピリットを、これからの日本を支える次の世代へと直接的に受け継いでもらいたかった。Jリーグに復帰して、湘南か甲府で、原点に戻ってプレーする姿がみられたなら…。格好悪くてもいいじゃないか、引退宣言なんか撤回してしまってくれよ。そんな気持ちが込み上げる。彼のことだから撤回などありえないとは思うけれど。
残念だ、実に残念だ…。