失った勝ち点2で得た経験

東京 2-2 神戸
後半開始から主導権を握ったのは東京。少ないボールタッチから神戸陣内に攻め入り、好調のリカルジーニョ&新加入の大黒が攻撃にアクセントをつけ、10分には梶山、18分には大竹がゴールネットを揺らす。圧倒的なボールポゼッションと堅固な守備で神戸に一切の隙を与えない。正直、試合は楽勝と思った。
後半、ゲームはガラリと変わる。結果論からすれば、追いつかれた2点にはいくつかの不運も重なったと思う。攻め込まれていても東京の最終ラインは堅かった。しかし、4-1-4-1に布陣変更してきた神戸に対応できず、長い時間において付け入る隙を与え続けてしまったことを反省しなければならない。
4-1-4-1といえば、南ア大会でも多くの代表チームが採用した流行りの布陣で、優勝したスペインも4-4-2との併用で素晴らしい戦いをみせた。日本代表が大会直前に4-1-4-1へ移行して成功したのもこの布陣。この試合の神戸だけでなく、浦和もこの布陣への変更を画策しており、Jリーグにおいても今後採用するチームは増えていきそうな流れだ。もちろん、フォーメーションが全てではないが、十分に打開策を練っておかなければならないのは現実であろう。
4-1-4-1の特徴には、前線の1トップにボール当てて、2列目の4人が一気に上がりカウンターを仕掛けていくという攻撃のメリットがあり、反対にカウンター失敗ともなれば2列目の4人の後ろに広大なスペースが生まれるので、カウンターのカウンターに弱いという守備側のデメリットがあるようです。
流れを取り戻したい東京が、2点リードの後半にスピードのあるナオと達也の投入した意図は、きっとそこにあるのだと思います。単なる3点目を取りに行くという攻撃的メッセージだけでなく、ある程度セオリーに従った交代でもあったわけです。最後の交代カードが平山だったのは、城福さんなりに葛藤もあったかもしれません。ヨングンを入れて神戸のカウンターをしっかり止めて、スピードのある両サイドへ一気にボールを運ぶという狙いも考えられたでしょうが(ヨングンのコンディションの問題もあったかもしれません)、時間帯的に考えて前線で平山に収めさせて試合を終わらせる、という選択もまた極めて妥当でした。しかしながら、苦しい展開の中で不運にも近い追撃弾を許し、追加タイムでまさかのPKを奪われ、最終的にドローで試合は終了してしまった。
運にも左右されるのがサッカーであるけれど、悪い時間帯が続けば不運が転がり込む可能性は増えていく。東京の目指すサッカーはおそらく何も間違ってはいない。やはり試合全体の中で不利な流れを断ち切って、少しでも良い時間帯を保持し続けられるチームでいなければならない。勝ち点1を得たというよりも、むしろ勝ち点2を失ったといっても良い結果ではあるけれど、この失った勝ち点で得た経験もまたきっと大きいものであると信じています。苦い経験への反省と対策が、またひとつ上にレベルアップしていくきっかけになるに違いないでしょう。僕らは希望を持って前に進んで良いのです。