オオクワガタその後

先日の日記で「オオクワガタがピンチです!」という話を書きました。
誤ってバルサンを焚いてしまったため、瀕死の重傷を負ってしまったオオクワガタ。
スタジアムでお会いした数人の方々から「クワガタ、どうなりました?」と心配の声をかけていただきました。そういえば、その後の状況を報告するのを忘れていました。
結論からお知らせしますと、
 
…なんと、復活いたしました!!
 
以下に、事件発生からの状況を流れに沿ってお伝えいたします。
 

6月29日(月) 昼
害虫駆除のため、嫁がバルサンを焚く。
…玄関で飼育しているオオクワガタのケースを避難させることを忘れる。夕方に買い物から帰宅して、事件発覚。長男号泣。

土に潜っていたメスは無事。朽ち木の裏にいたらしいオスが、辛うじて動くほどで瀕死の重傷。足が1〜2ミリ、微かに動いているんだか動いていないんだかという状態。
インターネット上で情報収集。しかし、全くといっていいほどクワガタを救い出すための有益な情報はみつからず。絶望気味…。

6月29日(月) 夜
クワガタくんの体についた薬液を半身浴で洗い流し、新しい飼育ケースに新しいマットを敷いてお引っ越し。

暫定的な対応だが、苦しみながらもまだ生きているクワガタくんを放っておくことができなかったもので。

6月30日(火) 朝
クワガタくんの状況はあまり変わらず。自立できずにコロンとひっくり返ってしまう。
ただ、足を触るとゆっくりとだが反応を示す。

小学1年生の長男は、すでにお墓を作ることばかりを考えている。残酷だ(苦笑)

6月30日(火) 昼
バルサンの製造元であるライオンのお客様相談センターに電話。

バルサンでオオクワガタが被害を受けてしまったが、まだ生きている。毒素を分解する中和剤のようなものがあれば紹介してほしい」という質問に、「へ?人間じゃなく、クワガタですか?(馬鹿にしたような口調で)残念ですが、どうしようもないですね」と一蹴されてしまう。

6月30日(火) 夕
ゴキブログなる害虫駆除会社の研究者さんのブログに質問の書き込み。
藁にもすがる思いで救済のヒントを求めてみる。

実はこのブログ、観戦仲間のいとうやまねさん*1に紹介していただきました。害虫駆除会社の研究室なら、クワガタさまを救うヒントを教えてくれるかもしれないということで。
以下、その質問のやりとりを転載。

以下転載
 
2008年07月29日 チャバネゴキブリの駆除
http://www.cic-net.co.jp/blog/2008/07/post_241.html
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(コメント欄)
はじめまして。ゴキブログを興味深く読ませて頂きました。研究テーマとは異なるかも知れませんが、専門家の方の知識を拝借したくコメントさせていただきます。よろしくお願いします。
昨日、妻がチャバネゴキブリの駆除のために市販のバルサンを自宅で使用しました。ところが、うっかりと小学生の長男が飼育しているオオクワガタのケースを避難させるのを忘れ、オオクワガタが瀕死の重傷をおってしまいました。ただ、オオクワガタは朽ち木の下に隠れていたこともあり、弱々しいながらも現在も生き延びています。ほぼ自力歩行はできません。ピレス系(?)の神経毒ではないかとのことですが、有効な中和剤など考えられるものがあれば教えていただけないでしょうか。現段階で最低限できる対応として、クワガタ自身を軽く水で洗い流し、新しい飼育ケースに新しいマットを敷いて、引っ越しを完了させました。常識的には放っておく以外には考えられないと思いますが、彼の命が続く以上、何かしてあげられることはないかと模索しています。どうか専門家のご意見をよろしくお願いします。
Posted by: あらちゃん | 2009年06月30日 13:07
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あらちゃんさん  こんばんは。
難しい問題です。現在のところ,昆虫に暴露された殺虫成分を中和できる物質(方法)は無いと思います。出来る事としては,クワガタの体表に付着している殺虫成分を洗い流す事。特に気門等のある腹面を良く洗い,安静にしてみてください。ピレスロイド殺虫剤の利点は即効的にノックダウン作用を起こす事です。有機リン系の殺虫剤はノックダウンはいまいちですが,殺虫効力がすぐれます。
有機リンを使用していたら短期間でダウンしていたでしょう。その違いにより,クワガタは致死せずに生きているのだと思います。ピレスロイド剤の欠点は,ノックダウン効果に優れるが,その後蘇生する事です。従って,クワガタも時間と共に蘇生する可能性があります。そこに期待するしかないでしょう。
二次被害の防止として,殺虫剤がかかった恐れのある飼育資材は破棄した方が良いでしょう。私も殺虫剤を使用した日は,全身シャワーを浴び,衣類を着替えてゴキブリに触れるようにしています。
害虫種は殺虫剤に対して,抵抗性を発現していますが,一般昆虫は非常に弱いです。有効な返答が出来ずに大変申し訳ないと思います。クワガタが快方に向かう事を祈っています。
Posted by: 小松 | 2009年06月30日 23:55

なんと、このような適切なアドバイスをいただくことが出来ました。研究者の小松先生には感謝の気持ちでいっぱいです。
殺虫剤の成分には、殺虫力の高い有機リン酸系のものと、即効性の高いピレスロイド系のものがあることがわかりました。
使用したバルサンは後者で、一次被災のときにクヌギの下に隠れていたクワガタは即死を免れることができ、その結果、時間とともに回復する可能性を残してくれたようです。

6月30日(火) 夜
クワガタくんの気門があるという腹側と足の付け根をもう一度洗い流し、安静状態へ。
自力歩行はできないが、足だけはなんとか動く。

目が回っているようなフラフラした状態は相変わらずであるが、ケース移動の最中に上顎で長男の指が挟まれる。これが物凄いチカラ!足の自由は利かないが、上顎はしっかりしている様子。なんだか、希望がわいてきた。

7月1日(水) 朝
クワガタくんがいない。探してみると、朽ち木の裏側でお休み中。

どうやら、自力で動くことができるようになった模様。全盛期のパワーと比較すると、40〜50%の元気という状態ではあるけれど。
餌(昆虫ゼリー)は食べていない様子。

7月2日(金) 朝
少しだけ餌が減っているような気がする。

メスが食べたのかも知れないし状況はまだわからない。けれど、オスが徐々に元気を取り戻していることは確か。

7月5日(日) 夜
事件から1週間。
帰宅して玄関に入ると、ササっと土の中に隠れていくクワガタの姿を視認。
どうやら餌を食べていたようだ。

一晩で昆虫ゼリーを2〜3個消費していた元気さには程遠いけど、なんとか命をつなぐことが出来ました。回復具合は60〜70%といった感じですが、ようやく安堵しました。
これからもクワガタくんの生涯をきっちりと見守っていってあげたいと思います。
 
的確なアドバイスをいただきました小松先生、そして手助けをいただきました皆様、ご心配をおかけした皆様、本当にありがとうございました。この場をかりて御礼申し上げます。